鹿児島/鹿屋① 鹿屋航空基地と命の重さ
鹿児島県鹿屋(かのや)市、鹿児島県の東部、大隅半島の中央に位置し、人口は104,496人(2012.7.1現在)で、バラ園や鹿屋体育大学、自衛隊の基地がある事で知られる大隅半島の中心都市です。
鹿児島市、霧島市に次ぐ鹿児島県第三の人口を誇る市となりましたが、鹿児島県ではこの3市のみが10万以上の人口を有している状態です。
(訪問・2012年9月)
▼下車したバス停
人口10万を越えながら、鉄道のない(1987年になくなった)鹿屋市。沖縄を除いて人口10万以上で鉄道がないのはおそらくここだけでしょう。鹿児島中央からバスで1時間半はかかったでしょうか。1300円ほど。空港は遠く、鉄道駅がないだけでなく最寄駅からも遠く、10万都市でなぜにこれほど不便なのか、と嘆きたくもなりましたが…。
そんなんこんなでバスでやって来た訳ですが、途中フェリーにバスごと入って垂水港からまた陸輸を経て、鹿屋市へ入る段になり、さぁどこで降りようかずっと迷ってました。
リナシティってのがなんかメインっぽいとこだと思いつつ、自衛隊の前でも下りてみるか、とのファイナルアンサー?!が自分の中で出て、ここに降り立ちました。海上自衛隊鹿屋基地の真ん前です。この時の旅の実質的なスタート点でもありました。
ちなみに「航空隊」前バス停ですが、ここにある鹿屋航空基地は「海上」自衛隊です。
バス停から道路を横切り、歩いて程なくの所で、この鹿屋航空基地の門が見えます。
ここはフリーで通行できます。
最初は守衛とか居るのか?等々ドキドキしてましたが…、心配無用でした。
▼通路
門を入ったところの通路、そのまままっすぐ歩いていきます。
ひっそりとした様子…
▼目指すもの
自衛隊の所に航空基地の資料館があると、着く前の道中、バス内で調べて分かったんですが、鹿屋は特攻基地であったという事で、この史料館は行っておきたい、という思いにぐっと傾きました。
というのも、この前月、盆後半の鹿児島旅で知覧に寄った際に、武家屋敷を見る事を優先した為、時間の都合上、特攻の資料館へ行けなかったこともあり、鹿屋にあると聞き、これは絶対に行きたい!となった訳です。
この突き当りを右折すると基地、左折すると史料館へと至ります。
▼展示機体
上の写真の突き当りを左折するその角にあった航空機です。
「二式大型飛行艇12型」とありました。1940年製、1942年旧日本海軍に採用された、当時最新鋭の航空機であったそうで、終戦後米軍がこの機体の調査を行って、その高性能に驚嘆したといわれています。
その後は30年余り米国で保管されていましたが、破棄される寸前に笹川良一氏の手により1979年日本に再び戻る(船の科学館へ)事となり、更に2004年に海上自衛隊第一航空群が引き渡しを受け、今日に至るといいます。
▼入口
飛行艇のところを左折し歩くと程なく右側にこのような門と建物が。
この建屋は無料休憩所や物産展になっていて、この道を隔てて向かいに航空基地史料館があります。
▼石碑
門を入って左手が上の写真、右手がこの史料館の入口で、向こうに屋根だけ見えている建屋がまさにそれで、その手前には航空機の機体が幾つも並んでいます。
▼立ち並ぶ機体
石碑のバック、史料館前の広場には、このような機体が立ち並んでいます。
2枚目の写真のは対潜哨戒機という事で、対潜水艦用の洋上監視機ともいわれるもので、3枚目のちっちゃいのは練習機だそうです。
▼飛行
すぐ近くが航空基地であるため、このように真上を航空機が飛んでいる、という事がしょっちゅうです。
航空基地資料館の案内図として、でっかい看板が出ています。
こうして見ると、実に多くの機体が設置されているのが分かります。
▼史料館入口
意外にも?!入館無料でした。
門を入ってからこの中に入るまで、全くフリーで行けます、実に意外…
で、中は様々な航空機の模型や本物の機体やオペレーションの機器もあります。単なる書物のみならず機体や機器類を含めたスケールの大きい史料館です。
また最初は特攻作戦に至る経緯の説明や、特攻に関する寄せ書きなどの関連資料、特攻で亡くなった方々の写真など、知覧で見たいと思い見れなかったと思われるものが見られて、色んな思いが駆け巡りました。
命の尊さは勿論、皆若い命で特攻に向かい、もしそれがなかったらこの方々の、この地域の、日本の将来はまた違うものになっていたであろう事を思うと、複雑な思いがしました。それに比べると自分なんて長々ダラダラと生きてるもんだな、と改めて思い知らされもしました。
また、水戸黄門の二代目黄門様で有名だった俳優の故・西村晃さんの手記?!の展示がありましたが、この方は実際に特攻隊員で、出撃はしたものの期待故障で引き返し命拾いしたといいます。
西村晃さんいえば「水戸黄門」に登場する少し前「太陽にほえろ!」にゲストで出ていた際に軍用拳銃を突きつけて人質を取るシーンがありましたが、戦争と深い縁がある事をこの史料館に来て改めて感じました。
ちなみにこの犯人役は犯罪者というよりは、己の正義のために戦う初老男という感じで、後に演じる黄門様同様どこか茶目っ気があり、また憎めない男で、ラガー刑事(渡辺徹)とのアクションを交えた格闘の末、己の負けを認めこめかみに銃を突きつけ自決を図るも銃が錆びついてて弾が出ず、最後はラガーと爆笑し合うという妙なラストシーンを見せてくれました。だいぶ横道それましたが…
▼出門
史料館を見終えてからは別の出口から出ました。
こういう施設は20年前に広島の江田島で初めて見させてもらいましたが、特攻とはなんだったのか、という想いがします。戦後何十年も経って生まれた世代には、お国のためにという概念は生きてこそ、という想いが基準で、自らの命をもって貢献するという教育を受け育ってきた年代の方々からすると、今はぬるくて贅沢で…、ということになるのかな、と。
他愛という精神が昔であるほどあったのかな、とか、若い頃には感じなかった事を今感じたりもしました。
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