佐賀/伊万里 陶器溢れるこの通りに
佐賀県伊万里市、JR伊万里駅からの歩き旅です。
(2011年12月当時)
●マンホール
まずは伊万里市のマンホールです。
江戸時代の古伊万里(焼き)の積み出し風景だそうです。もっと焼き物を前面に出したものを想像していました。伊万里港から長崎を経由してヨーロッパへ出ていたそうで、今ヨーロッパでその陶器を持っている方は居ないのか??等想像してしまいます。
●駅前道
JRと松浦鉄道をつなぐ形で駅が構成されていますが、その両者をつないでい歩道の下を交差している道路の南側を眺めた様子です。
これは今からちょうど5年前の姿ですが、このガストは今もあるようです。
伊万里焼ロードギャラリー事業という事で、この訪問の前年にあたる2010年3月に伊万里市が「伊万里当時工業組合」の協力のもと設置した、とありました。
以降、いたる所でこのような街なかに陶器を目にする事となり、これが伊万里の「ウリ」という事を改めて感じさせられます。
伊万里は焼き物だけではなく、伊万里牛としても知られており、その上質さは佐賀牛と同じものであり、生産がJAの伊万里管轄であれば「伊万里牛」と呼ばれているだけだそうです。
器だけではなく、こんな陶器もありました!
これなんの着物の女性??と思い説明書きを見ると「伊万里色絵夫人立像」とありました。
江戸時代でも寛文年間といわれる17世紀後半ごろの風俗画を特徴づける美人画の様式との事で、こういうものまで焼き物でつくられていてビックリしました。
絵画の世界では、この後浮世絵が流行し出して、絵のタッチが変化していきますが、陶器の世界ではこの様式が踏襲されていったそうで、それぞれの世界でそれぞれ別の変貌をしていくのか…と思わされました。
ユニークな看板、というかこの三次元的なのがなんとも目を惹きます。
壁から牛の頭の部分がニョキッと突き出している訳ですから。
伊万里駅から北へ2つ目の信号、距離にして200m程のところにある「浜町」交差点です。
ブルー・寿というホテルのブルー具合が妙に目立ちます。
あまり駅前にホテルがポンポン立っているような町ではありませんが、ホテルはちゃんとあります。「じゃらん」では都市によっては探せないところもあったりして、つい県庁所在地や大都市に目がいってしまいますが…。
手前のおもちゃ屋さんが存在感があっていいですね。カラフルな店名表示はまるでア●ヒペンのようです(笑)
上の浜町交差点から北へすぐの所で、橋の手前にあたる部分ですが、そこに佐賀銀行があります。で、この佐賀銀行には面白いものがありました。マンホールにあったものと同様に、伊万里焼を積んだ古い船を三次元化したものです。これが銀行の軒先にあるという訳です。
下の説明板には「伊萬里津と伊萬里商人」とのタイトルで説明がありました。江戸時代には伊万里川の河口に開けた街並みを伊萬里津とよんでいたそうです。「萬」と旧字?表記だったのですね。
これ以前は伊萬里浦とよばれていたのが、17世紀の前半に港が整備されたそうです。あとはは先述通り長崎まで船で、生産された陶磁器が運ばれ、遠くヨーロッパへ渡ったといい、いわば「陶磁器ロード」の出発点といわれています。
上の写真の佐賀銀行の向こうには、このような橋の片鱗が見えていた事と思いますが、遂にその橋までやってきました。
するとその手前はこんなファンキーな陶磁器像が出迎えてくれました。
説明板には「伊万里色絵酒樽乗人物型注器像」とありました。よみはまんまです、「いまりいろえさかだるのりじんぶつがたちゅうきぞう」と。
酒樽に乗った人がつくられているのですが、この人はオランダ人です。この像はオランダからの依頼で江戸時代に陶器としてつくられたものだそうで、実用品は首の部分が蓋となって取り外しができていたものだとか。首を取り外す事で酒を注ぐ事ができていた訳ですね。
下にある酒樽の前面には蛇口がついています、変な位置に突起物がついているので、あらぬ誤解を受けそうですが。左手に酒瓶を持って覗き込んでいるというのですが、どう見てもマラカス振って踊り狂ってるアジアの志士の仲間のようにしか見えませんでした。
この橋のある川は伊万里川で、かつては焼き物を運ぶ船が行き来していました。伊万里港から流れ込んでくる形で、長さは約10kmあります。
そしてこの堤防たち、下2枚中の上側は和風建築の象徴的存在ともいわれる「なまこ壁」を前面に出したスタイルの堤防で、いまひとつは城郭建築の片鱗を感じさせる屋根と白壁がズラリ並んだ堤防です。後者は堤防というよりは柵的な要素の方が強いですが。
●和風な堤防2
白壁が全面にドーンと立った堤防もありました。しかも「伊万里津」の絵つきで!
川の外側からのカットのひとつですが、伊万里津の古絵図がありました。横には古い写真も並べられ、往時の伊万里をここで窺い知る事が出来る訳です。
「伊万里色絵楼閣山水門大壺」(いまりいろえろうかくさんすいもんおおつぼ)という壺がありました、これもまた橋の上です。
模様や形はかなり派手ですが、描かれている絵は実に和の佇まいに溢れた穏やかなものである事が窺えます。
ここでの説明板では「中国では沈香壺に香木を入れて、普段は蓋をしていて、来客時にはき蓋を開けて香りを漂わせていた、とありました。アロマテラピーのはしりのような事がなされていたのでしょうか。ヨーロッパを席巻したこの古伊万里もこの形は踏襲したものの、部屋の飾りなどに使われていたのが主であったとされています。
こちらは「伊万里色絵菊梅文壺」 (いまりいろえきくうめもんつぼ)というやはり壺です。上部の模様からすると縄文土器を連想させられます。
ヨーロッパでは器としてだけではなく、金工技術も加えて、王侯の宮殿や館の壁面などを飾ったといわれ、これはローソクの燭台仕立てになっているのですが、その事との好例として挙げられています。
上部の曲線を駆使した部分はロココ様式とされ、これに壺本体の鮮やかな彩色がよく合った好例としても挙げられているようです。壺の面に埋めや菊の花があしらわれています。
最後ですが、これは「伊万里色絵鸚鵡像」 (いまりいろえおうむぞう)です。要は陶磁器でつくられたオームですね(笑)
17世紀当時でこれ以外にも、虎、鷹、獅子、鶏などもつくられ置物とされていたようです。腹回りがこんな模様のオームっていないと思うのですが、どのような意図でこうなっているのか知りたいところですね。
あちらこちらにでっかい陶器が立っているこの伊万里、歩いているだけで思わず息を飲むというものです。色んな陶器をスタンプラリーの如く制覇してみると、旅として楽しめるだろうなと思います。
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