島根/松江② 美保関 青石畳と港の眺め
島根県松江市、島根/松江① 宍道地区 八雲本陣に続く松江市の旅の様子です。
(2018年8月当時)
松江市の観光記事として前回は旧・宍道町にスポットを当てましたが、今回は旧・美保関町です。
またまた、平成の大合併前の旧・松江市外のものをお伝えしますが、旧・松江市内だとかなり王道なものとなってしまうかな、というところで、まずは敢えて旧市外にスポットを当てました。
という訳で今回は美保関(みほのせき)編です。
●万原バスターミナル
この美保関には1989年に初訪問以来何度か訪ねていますが、旅として行く事をあまりしていなかった事もあり、今回はそういう視点から今月初めに訪ねたものをお送りします。
まずはここ「万原ターミナル」です。
鉄道駅舎のような風貌に見えますが、これはバスターミナルで、現在は松江市美保関町ですが、旧・八束郡美保関町の交通の中心的な存在です。JR松江駅から「美保関行」として出ているバスも一旦ここまでの運行となり、ここを基点に旧・美保関町内の各所への便が出ている格好です。
美保関の観光の中心的なエリアである港の方や、それより先の灯台などへ行きたい場合は、ここではまだまだ届かないので、一旦乗換える事となります。実際この時も接続が悪くて、このターミナルで1時間待つ事となりました。
この周辺も小学校や体育館などの施設はそれなりにあるエリアですが、観光に関してはあまりありません。
2005年に松江市になった美保関ですが、旧町の名残りなのか「町民バス」のまま運行されていて、時刻表が見えていました。名称として正確には「美保関コミュニティバス」です。
JR松江駅から美保関の観光地へ行くには…
JR松江駅
↓ 一畑バス 「美保関ターミナル」行 約40分 750円
(乗換)万原ターミナル
↓ 美保関コミュニティバス 「美保関」行 約25分 200円
美保神社前
が公共交通機関では一般的なルートです。
という訳で、うまく接続しても1時間以上はかかります。便数的には概ね1時間に1本です。しかし時間帯によっては接続のない場合があり、今回見事にこれにハマってしまいました。
ちなみに「美保神社前」停留所は、美保関行バスの終点手前の停留所ですが、美保神社の最寄りで観光客の多くがここで降りる為、この停留所を載せています。終点の「美保関」停留所もすぐ近くにある(こちらは港の近く)ので、ここで降りても全然差支えはありません。
●「美保関」停留所
という訳で、万原ターミナルで1時間待ってから来たバスで約20分でこの終点に到着しました。先述の通り、バスに一緒に乗っていた他の数名の乗客は全員、この手前の「美保神社前」ターミナルで降りて行き、「美保神社はここで降りたらいいのですか?」と訊かれる方もいました。
また、このコミュニティバスの乗車中に、鳥取県の境港方面から来られる方々も乗り継ぎで合流していました。境港とは「境水道大橋」という高い大きな橋で繋がっているので、ここからだと松江市へ行く場合と、乗換を経て境港市へ行く場合とが選択できます。
ちなみにこの「境水道大橋」は2002年までは有料でした。今では無料なのでこうしてバス路線で行き来もできます(松江駅から境港へのバスもあります)が、有料時代には有り得ないバスルートでした。
で、このバス停は屋根もベンチもない、ただの標識のみがあるバス停でした。手前の美保神社前も同様だったと思います。
美保関を象徴するひとつである港湾風景が見事に広がっています。
初訪問から30年近く経ちますが、殆ど変わっていない気がします。
万原ターミナルでは水辺の景色は見れても、このような街の景色が見て取れないので、訪問時はここまで来て良かったと思いました。時間の関係で万原で断念するかどうか?という部分がありましたが、敢えてここまで来るべきと改めて感じました。
ちなみに旧・美保関町は合併前は人口7,000人ほどの町でしたが、現在は松江市20万の人口の一部をなしています。
美保関の観光において、代表的なものとして挙げられるのがこの神社です。
1990年以来実に28年ぶりに来たと思います(笑)
表は殆ど変わっていないと思いますが「大造営中」なる大きな看板が出ていました。
このような大規模な神社では、その設備維持の為に莫大な改修費用が要る訳で、ここでは3期に分けてその工事を実施するようですが、必要な経費が約12億円!で、国庫補助等がが5億円あるという事で、目標とする浄財が7億円と記されていました。7億円の寄付が必要な訳ですね。
7億円が必要…これはハードルが高いですね。
この美保神社は事代主神という神様を祀っているのですが、この系統のえびす神社では全国約3,000ある中の総本社であるという事です。出雲国風土記にその名が登場し、単なる町の神社ではなく由緒伝統ある神社のようで、バスに同乗していた人たちも軒並みここへ訪ねて行っていました。
美保神社から出てすぐ左に広がっているのが、この青石畳通り です。
雨が降ったら石畳の部分が青く光ることから、この名前がつけられたといいます。この辺りは1年間のうちの快晴日数が少なく、雨が降る事が本当に多いので、しょっちゅう青く光るのではないか?と勝手に思ってしまいます。
石畳も風情あるのですが、両サイドの建物にもそれぞれ味がありすぎるくらいあるのです。これをずーっと通っていくのがまた楽しいものです。
この案内札がかかっている所も江戸からの歴史を持ち、いろんな事業を展開し、一帯の商取引を統括したりなどしていたようで、その旨が記されていました。
更に進んで行きました。
右奥の福田酒店というところも創業100年以上の歴史を持つお店といいます。
立呑みカウンターもあったりして、夕方になると地元の漁師さんで賑わうのだとか。
看板に記されているのは「神話乃酒」の文字です。ここのオリジナル商品で他店では入手不能だとか。
美保関の代表的な宿のひとつにこの「美保館」があります。
この石畳の通りでも建物が見えていますが、この裏に回ると海側であり、ここに来たバスの下りたところからすぐ近くです。表と裏では全然見え方が違っていますが、ここから見る建物はとても風情あるものとなっていて、とても素晴らしかったです。
そしてこの建物は登録有形文化財でもあり、2004年に登録されています。
明治41(1908)年に着工され、ここもまた100年以上の歴史を有しています。建具や電灯なども当時のものが今も使用され、黒電話もあるのだとか。
青石畳通りの中で、美保神社に最も近い地点で、神社を出て左すぐの地点です。
この辺りでは「青砥」というのは数多く見られる名前です。
左側にある旅館の建物がそれですが、現在は営業していないようです。看板だけは現役さながらでしたが…。
1850年には既に存在した問屋で、大問屋からの分家として青砥屋を名乗り現在に至る、とありましたが、現役でなくなってどのくらい経つのでしょうか。2000年の時点では旅館として登録があった模様です。この通りを歩くだけでも、現役の宿とそうでない宿が感じて取れました。何年経っても変わらない街並み…と思っていても、旅館は減るなどして時は流れている事だけは実感させられました。
バスで着いた海辺から青石畳通りの距離感が分かるカットかと思いますが、時折このような狭い路地が差し挟んであって、互いの通りをこのような行き来する事ができます。
この辺に温泉があるとは聞いた事がなく、温泉に入れるという想定はしていませんでしたが、なんと日帰り入浴できるところが!
しかし先程、青石畳通りで裏側を見かけた「美保館」でした。これは海側にある正面玄関の入口ですが、ここに堂々と日帰り入浴の表示があり、時間と相談しつつ入る事を決意しました。
宿泊では大体¥12,000~のようですが、日帰り入浴は¥800との事でした。
早速フロントに入ってみましたが、ロビーにお客さんが数人いただけで誰も居らず…
ベルで?!鳴らす式で呼ぶようで、程なく出てこられました。御家族経営の様でした。
日帰り入浴希望の旨申し出て金を払うと「エレベーターで7Fへ行って下さい」と。また「電気ついてなかったら適当に点けてください」とも。ともかく隣にある小さなエレベーターで7Fへ。ほとんど利用者はないのでしょうか…??
美保館の大浴場です。
案の定、自分以外誰も居ませんでした。
電気はとりあえずついていたようですが、脱衣所は基本カゴ置きで、貴重品は隣のBOXに入れる形式でした。マッサージ機の類は全くありませんでした。自販機類も見られませんでした。
浴場に入ると洗い場があり、シャンプー類もありました。この辺はやはり宿泊客向けにひと通りあるといった感じでしたが、眺めが最高!でした。
港周辺をパノラマ眺望!という感じで、お風呂はこれだけでサウナもなく、大して設備のない中で入浴料800円は高い??とも思いましたが、この眺めは十分その価値あったと感じました。昼見るとこんな感じでしたが、夜見るとどの程度光っているのか…??一度宿泊して確認してみたい気にもなりました。
美保神社を出てすぐ右にある物産店「なかうら」です。
土産物屋さんとしてある程度まとまった代表的な店舗といってよいかと思います。
2016年12月にリニューアルされています。
土産物屋さんは勿論ですが、軽食コーナーもあり、御覧のようなそば(あごだしそば・¥600)を頂きました。バスの時間まで迫っていた事もあり、あまり味わえませんでしたが、そんなに食べられるお店が多いと感じられなかった付近一帯において貴重なところと思いました。
美保神社バス停から乗って松江方面へ帰りました。
行きの時のバス停とやや場所が違っていて、帰りはこの美保関郵便局の真ん前がバス停で、場所的に分かり易かったです。
ここから万原バスターミナルで一旦降りましたが、すぐ松江駅行きのバスが接続されていて、待つことなく松江まで帰ることができました。
そんな訳で、美保関の観光をギュッと詰め込みましたが、懐かしい港町に来てみたいと思ったら、時間がかかってもここへ来る事をおススメします。
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